発表

3PM-064

顔魅力評価における顔の形態情報と表面情報の相対寄与度

[責任発表者] 中村 航洋:1,2,3
[連名発表者] 渡邊 克巳:1
1:早稲田大学/日本学術振興会/慶應義塾大学先導研究センター, 2:日本学術振興会特別研究員(PD), 3:慶應義塾大学先導研究センター

目 的
顔魅力研究では,魅力を規定する要因として顔の形態と表面の両方の重要性が指摘されている。中村・渡邊 (2017)は東アジア系人種の顔魅力に寄与する顔形態と顔表面の情報をデータ駆動型処理により分析し,局所的な顔パーツの形態や肌の明るさをはじめとした多様な顔特徴が魅力に寄与していることを明らかにした。しかしながら,形態情報と表面情報が全体的な顔魅力評価においてどの程度相対的に寄与しているかについては明らかになっていない。本研究では,データ駆動処理により魅力印象を規定する顔の形態情報と表面情報を独立に操作し,その操作が魅力評価に及ぼす影響について検討した。
方 法
実験参加者 日本人の成人48名 (女性24名; 平均年齢20.33歳, SD = 1.71)が本実験に参加した。
刺激 本実験では,中村・渡邊(2017)において顔魅力と共変する形態情報と表面情報をデータ駆動処理により操作した顔刺激を用いた。FaceGen Modellerを用いて無作為に生成された男性顔 (10枚)と女性顔 (10枚)の魅力の変換強度を0SDとし,魅力を7段階 (-3, -2, -1, 0, 1, 2, 3 SD)に操作した顔刺激を作成した。この時,(1) 顔形態と表面の両方を操作した顔刺激 (形態+表面変換条件),(2) 顔形態のみを変換した顔刺激 (形態変換条件),(3) 顔表面情報のみを変換した顔刺激 (表面変換条件)の3種類の顔刺激を作成した (図1)。
手続き 実験参加者は(1)形態+表面変換条件,(2)形態変換条件,(3)表面変換条件に無作為に割り当てられ,各条件で提示される顔刺激について顔魅力を9件法で評価することが求められた (1:全く魅力的でない,9:とても魅力的である)。

結 果 と 考 察
顔形態および表面情報の変換が顔魅力評価に及ぼす影響について検討するために,形態および表面情報の変換強度を説明変数,魅力度評定値を目的変数とした線形回帰分析を行った(図2)。分析には各顔刺激に対する平均魅力度評定値を用いた。
形態変換条件:顔性別に関わらず顔変換によって線形的に魅力度が変化することが示された (男性顔: β = 0.61, p < .001, R2 = .63; 女性顔: β = 0.46, p < .001, R2 = .60)。
表面変換条件:顔変換は女性顔魅力度を線形的に変化させたが (β=0.46, p < .001, R2= .60),男性顔魅力に対しては影響を及ぼさなかった (β = 0.07, p = .25, R2 = .02)。
形態+表面変換条件:顔性別に関わらず,顔変換によって線形的に魅力度が変化することが示された (男性顔: β = 0.51, p < .001, R2 = .64; 女性顔: β = 0.81, p < .001, R2 = .86)。
顔魅力評価における形態情報と表面情報の相対寄与度:形態+表面変換条件の魅力度評定値に対する,形態変換条件および表面変換条件の魅力度評定値の相関係数の大きさの差の検定を行った。その結果,男性顔においては,形態+表面変換条件の魅力度との相関は,表面条件よりも形態条件の魅力度の方が高かった (z = 4.09, p < .001)。一方で,女性顔においては,形態+表面変換条件と形態変換条件,形態+表面変換条件と表面変換条件の間の魅力度の相関係数の大きさには有意差が認められなかった (z = 0.29, p = .77)。以上の結果から,女性顔の魅力評価においては形態と表面情報の両方が重要であるが,男性顔の魅力評価においては表面情報よりも形態情報の方が魅力評価に及ぼす影響が大きいことが明らかになった。

引用文献
中村航洋・渡邊克巳 (2017).データ駆動型アプローチによる化魅力の統計モデル構築と魅力の定量的操作.日本基礎心理学会第36回大会発表論文集.

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