発表

1EV-059

ストループ効果の反応モダリティによる違い

[責任発表者] 芦高 勇気:1
[連名発表者] 嶋田 博行:2, [連名発表者] 和田 一成:1
1:西日本旅客鉄道, 2:神戸大学

目 的
 認知コントロールの研究において、コンフリクト課題がよく用いられる。コンフリクト課題のひとつであるストループ課題では、ボタン押し(マニュアル反応)や口頭反応など反応モダリティを越えてストループ効果が頑健に得られるが、その効果の強さが異なる。近年、ストループ効果が課題コンフリクトと情報コンフリクトに分けて論じることが一般的になっている (Kalanthroff et al., 2018)。ストループ課題での促進効果の有無について長年にわたり議論されているが、課題コンフリクトに基づく考えでは逆促進が得られるとされる。他方、事前コントロールが高いときには課題コンフリクトが生じないために促進が得られ、ストループ効果量が小さくなるとされる。しかし、それぞれのコンフリクトが反応モダリティによって異なるかはわかっていない。本研究では、カテゴリー分類、タイピング、口頭で反応する条件でのストループ効果を比較した。また熟練度による違いについての議論がある。
近年ではマニュアル反応としてのキーボードタイピングでのストループ反応の研究が進められている (Logan & Zbrodoff, 1998; Crump & Logan, 2010)。日本語のタイピングでは、ローマ字入力法を用いる者が多いため、ストループ刺激には、ひらがなとローマ字の色単語を用いた。

方 法
実験参加者 一般に募集した健常な成人18名であった。ローマ字入力法を用いて3分間に360回以上正確に入力できた。平均年齢は24.4歳であった。
刺激 色のついた色単語と円図形であった。色単語には、ひらがな表記(例えば、みどり)とローマ字表記(例えば、midori)があった。色と単語が同じ色を示す一致刺激、異なる色を示す不一致刺激、円図形のニュートラル刺激を等頻度で提示した。4つの色と単語を使用した。
手続き 画面に提示された色のついた刺激の色についてできるだけ正確に早く答えることを実験参加者に求めた(図1)。反応モダリティには、カテゴリー、タイピング、口頭の3条件があった。カテゴリー反応条件では、色ごとにキーを割り当て、4つのキーで反応させた。タイピング条件では、QWERTY配列のキーボードを用いてローマ字入力させた(例えば、midori)。口頭条件では、声に出して答えさせた。反応モダリティ(3)、単語表記(2)、一致性(3)の参加者内三要因計画であった。
結 果
 正答反応の反応時間について、三要因分散分析を行った。その結果、反応モダリティ (F(2,34) = 11.5, p < .001) と一致性 (F(2,34) = 79.0, p < .001) の主効果があった。また、反応モダリティと一致性の交互作用 (F(4,68) = 8.2, p < .001) が有意であった。すべての反応モダリティの条件において干渉効果があり、タイピング条件のみ促進効果が認められた。単語表記と一致性の交互作用 (F(2,34) = 2.57, p = .09) が有意な傾向であった。

考 察
タイピング反応条件において他の反応条件よりもストループ効果量が大きかった。また、タイピング反応条件のみで促進効果が得られた。タイピング反応条件において促進が得られたことから事前コントロールは他の反応モダリティ条件に比べて高いと考えられるが、タイピング反応条件の干渉効果が他の反応条件に比べて大きかったため、事前コントロールが他の反応条件に比べて低いとも考えられた。事前コントロールの強さのみでは反応モダリティを越えてストループ効果を説明することが困難であった。

引用文献
Kalanthroff. E., Davelaar, E.D., Henik, A., Goldfarb, L., & Usher, M. (2018). Task Conflict and Proactive Control: Computational Theory of the Stroop Task. Psychological Review, 123, 59-82.

本報告は、第二著書へのJR西日本との共同研究の一部である。

詳細検索