発表

1PM-058

丸メガネをかけた私は温かくなれる?丸と四角に関するメタファ一致効果

[責任発表者] 岡村 靖人:1
[連名発表者] 浦 光博:1
1:追手門学院大学

【目的】
メタファと一致した形で、具体概念の処理が抽象概念の処理に影響を及ぼす(逆もまた然り)ことをメタファ一致効果という(Landau et al., 2010)。「年を取って丸くなる」や「四角四面」という表現が示す通り、形とパーソナリティの間でもメタファ一致効果(丸-温かさ・四角-有能さ・論理性)が生じることが確認されてきた(e.g., Okamura & Ura, 2017, 2018a, 2018b)。しかし先行研究では、実験条件の統制が不十分であり、丸と四角の認知のどちらがパーソナリティ判断に影響を及ぼしたのかの解釈が難しい。すなわち、温かさ、有能さ認知に関して丸が促進しているのか四角が抑制しているのか(もしくはその逆)が判然としない。このような解釈の多義性を減じるためにパーソナリティ判断についてプレ-ポスト・デザインを用い、丸と四角がパーソナリティ判断に及ぼす影響の方向性を明らかにすることが本研究の目的である。
【方法】
参加者:121名(男性51名・女性70名・18-22歳)
手続き:大学の講義時間の一部を利用して質問紙を用いた準実験を行った。参加者は丸メガネ群(N = 63)、四角メガネ群(N = 58)の2群に分けられた。まず両群の参加者は同意書に記名した後、8項目の温かさ尺度と8項目の有能・論理性尺度(Hofstee et al., (1992)に基づき作成)に5件法で回答した(プレ評定)。項目の呈示順序は温かさと有能・論理性が交互になるように並べ替えた。その後、参加者は丸メガネ、もしくは四角メガネの写真を30秒間じっくり見て、自分がいずれかのメガネをかけていることを想像した。その後、このメガネをかけた自分がどのような人物であると思うかについて上記の16項目の尺度に5件法で回答した(ポスト評定)。項目の呈示順序は最初の呈示順序の上から8項目と下から8項目を逆転させて呈示した。
【結果】
まず16項目について最尤法、プロマックス回転の因子分析を行った結果、温かさ(α = .89)、有能・論理性(α = .86)に分かれた(CFI = .92, RMSEA = .08, AIC = 290.63)。その後、それぞれの因子を構成する項目の平均値を従属変数としたメガネの形2(丸vs.四角:参加者間)×評定段階2(プレvs.ポスト:参加者内)×評定次元2(温かさvs.有能・論理性:参加者内)の3要因混合計画分散分析を行った。結果、評定段階の主効果(F (1, 119) = 101.10, p < .001, ηp2 = .46)、メガネの形と評定次元の交互作用効果(F (1, 119) = 6.71, p = .011, ηp2 = .05)、評定段階と評定次元の交互作用効果(F (1, 119) = 13.93, p < .001, ηp2 = .11)、及び3要因の交互作用効果(F (1, 119) = 7.36, p = .008, ηp2 = .06)が有意であった。3要因の交互作用について下位検定の結果、温かさ評定においてポスト評定の際のメガネ条件間(F (1, 476) = 8.59, p = .004, ηp2 = .07)、有能さ評定においてポスト評定の際のメガネ条件間(F (1, 476) = 5.05, p = .025, ηp2 = .04)で有意な差が認められた。すなわち、プレ評定では温かさ、有能・論理性得点に条件間で差はないが、各メガネの想起後のポスト評定では、丸メガネは温かさ認知を促進し、四角メガネは有能・論理性認知を促進することが示された。
【考察】
 この結果は、丸と四角に関してメタファ一致効果が生じており、丸は温かさと、四角は有能さ・論理性と結びついていることを示すものである。先行研究では、接近-回避の観点から丸は接近と、四角(角のとがった形)は回避との連合が示されてきた(e.g., Bar & Neta, 2005)。丸と温かさの連合は、この接近-回避の観点から説明可能であるが、有能さ・論理性と回避の結びつきは状況依存的であり、四角は丸よりも多義的である可能性が考えられる。

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