発表

3PM-045

さわり心地に対する快・不快臭の効果

[責任発表者] 大塚 由美子:1
[連名発表者] 岡本 瑞希#:1
1:愛媛大学

目 的
 
 Dematte et al (2006)は布を触覚刺激として用い、同時に快臭あるいは不快臭が提示されることにより触覚刺激のさわり心地が変化することを報告した。 一方で、Koijck et al (2015)はサンドペーパーの張られた物体面を触刺激として用い、このような快・不快臭による触覚刺激のさわり心地判断に対する影響を確認せず、ニオイの触覚への影響は可変物体のさわり心地に対し限定的に生じる可能性を指摘した。
 
 本研究ではサンドペーパーで研磨された木片を触刺激として用い、さらに快・不快臭のさわり心地に対する影響を検討した。


方 法

参加者:愛媛大学学生22名
    (男性6名、女性16名、平均年齢18.95歳)

刺激:ニオイ刺激の香料として精油3種類(ベンゾイン・レモン・シナモンリーフ)を用いた。予備実験での反応に基づいて濃度を調整された精油を垂らしたコットンをガラス製密閉容器内に配置したものをニオイ刺激として用いた。また、無臭刺激として香料を含まないコットンのみをガラス製密閉容器に入れた刺激を作成した。
 触刺激として3cm×3cm×1cmの木片の面に3種類の粗さ(40、100、320)のサンドペーパーを用いて研磨を施し、異なるテクスチャの面をもつ3種類の木片を3組作成した。

手続き:
参加者は目隠しをした状態で顎台上に頭部を固定。各参加者に対し、ニオイ刺激4種類(無臭・ベンゾイン・レモン・シナモンリーフ)×触刺激3種類×繰り返し5回=計60試行をランダム順に提示し、各試行でニオイ判断課題と触刺激判断課題に対する反応を得た。

ニオイ判断課題:ニオイを快・不快・無臭にカテゴリ分類

触覚判断課題:触刺激の粗さを1-7の数値で回答(1:滑らか、7:粗い)


結 果 と 考 察

ニオイ判断課題の結果:
 無臭刺激とベンゾインに対しては「無臭」反応が多く生じた。レモンに対してはほぼ一貫して「快」反応が生じたが、 1名の参加者のみ「不快」反応を示した。シナモンリーフに対してはほぼ一貫して「不快」反応が生じていたが、 2名のみ「快」反応を示した。
触覚判断課題の結果(図1参照):ニオイ要因とテクスチャの粗さ要因の2要因の被験者内分散分析の結果、ニオイの主効果、F(3,63) = 9.74, p < .01、とテクスチャの主効果、F(2,42) = 174.50, p < .01が示された。交互作用は有意ではなかった。テクスチャの主効果に関する下位検定の結果、テクスチャ40と他の2条件との間、およびテクスチャ100と320の間に有意差が示された(ps<.01)。また、ニオイの主効果に関する下位検定の結果シナモンリーフ条件と他の3条件との間に有意差が示された(ps<.05)。本研究ではDematte et al (2006)と一致して、同一の触刺激のさわり心地判断に対して異なるニオイ条件下での差異が生じ、快臭はさわり心地評価をより滑らかな方向へ、不快臭はさわり心地をより粗い方向へとバイアスすることが示唆された。


引用文献

Demattè et al. (2006) Cross-modal interactions between olfaction and touch. Chemical Senses, 31 (4), 291-300.
Koijck et al. (2015) Tactile roughness perception in the presence of olfactory and trigeminal stimulants. PeerJ. 2015; 3: e955.

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