発表

2AM-054

乳児における表情カテゴリカル知覚の神経基盤

[責任発表者] 高岡 祥子:1
[連名発表者] 金沢 創:2, [連名発表者] 山口 真美:1
1:中央大学, 2:日本女子大学

目 的
 カテゴリカル知覚は、物理的に等距離の刺激同士でも、カテゴリ内の刺激同士よりもカテゴリ間の刺激同士の方が弁別しやすいという知覚現象である。ヒトは多くの色を弁別可能であるが、それらを「赤」「青」といった色カテゴリに分類する。色カテゴリの分類には言語ラベルを用いることから、言語が色カテゴリカル知覚に影響を与えることが指摘されている(Robertson et al., 2000)。近年、近赤外分光法(NIRS)を用いて乳児の脳活動を調べる手法により、言語獲得以前の乳児がすでに色カテゴリカル知覚を行っていることが報告された(Yang et al., 2016)。彼らの研究から、言語獲得以前の乳児に色カテゴリカル知覚が存在すること、さらに、色カテゴリカル知覚が言語と独立した神経基盤を持つことが明らかになった。
表情認知は円滑なコミュニケーションにおいて不可欠である。Ekmanは表情をカテゴリに分類し、基本6表情(喜び、怒り、悲しみ、驚き、嫌悪、恐怖)が文化を超えて普遍的に存在すると主張した。生後7ヶ月の乳児が喜びと恐怖を弁別する表情カテゴリカル知覚を行うことが、行動実験により報告されているが(Kotsoni et al., 2001)、その脳内処理についてはいまだ検討されていない。
本研究では、言語獲得以前の乳児を対象に、表情カテゴリカル知覚の発達とその神経基盤を明らかにすることを目的とする。先行研究で色カテゴリカル知覚の存在が確認されている(Yang et al., 2016)5-7ヶ月児を対象として、カテゴリ内の表情変化と、カテゴリ間の表情変化に対する脳活動を近赤外分光法(NIRS)によって計測する。乳児が表情カテゴリカル知覚をもつならば、カテゴリ内とカテゴリ間の刺激に対して異なる反応を示すと予測される。

方 法
実験参加者:生後5-7ヶ月児の乳児12名程度を予定
刺激:ベースライン試行では、フルカラーの野菜画像4種を用いた。テスト試行の表情刺激として西欧人の成人女性4名の“喜び”と“怒り”の表情画像を用いて刺激を作成した。2つの表情画像から、物理的距離が等間隔(10%)のモーフィング画像を作成した(図1)。実験では、Kotsoni et al.(2001)を参考に、2つの表情間のカテゴリ境界を定め、カテゴリ境界をまたぐカテゴリ間の刺激ペア(図1のA2、B)と、カテゴリ境界をまたがないカテゴリ内の刺激ペア(図1のA1,A2)を用いた。
手続き:乳児は、実験者または母親の膝の上に抱かれた状態でCRTモニタに呈示される刺激を観察した。刺激呈示はブロックデザインで行った(図2)。ベースライン試行では、200msのブランク画面の後に野菜画像が400msずつ3枚呈示され、これを繰り返した(14.4秒以上)。テストでは、200msのブランク画面の後、各表情刺激を400msずつ3枚呈示した。呈示した表情刺激は、カテゴリ内条件でA2→A1→A2の順、カテゴリ間条件でB→A2→Bの順であった。これを10回繰り返した(14.4秒)。刺激観察中の乳児の左右後側頭部の脳活動を測定した。
装置:ETG-4000および、乳児用NIRSプローブ(2計測部位、各12チャンネル)(日立メディコ社製)を用いた。

結 果
本実験は現在データ取得中である。発表当日にデータを示す予定である。


謝辞
本研究は科研費新学術領域研究No. 17H06340(「トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築―多文化をつなぐ顔と身体表現-」の助成を受けたものです。

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