発表

2AM-033

PERMA-Profiler日本語版の心理統計量の検討 ー成人標本251名を用いてー

[責任発表者] 伏島 あゆみ:1
[連名発表者] 塩谷 亨:1
1:金沢工業大学心理科学研究所

目 的  Seligman(2011)のPERMAモデルでは,P (ポジティブ感情),E(エンゲージメント),R (ポジティブな関係性),M (意味・意義),A (達成)の5つの領域によって個人のwell-beingを捉えようとする。このモデルに基づいてButler & Kern (2016)がPERMA-Profilerを開発した。PERMA-Profiler は,Well-beingを5つの領域から包括的かつ多面的に捉えることで,結果から解釈や介入方法を考えやすい等,実践的な利点をもつ測度といえる。 筆者らはこのPERMA-Profilerの日本語版を開発し,主に学生を対象に信頼性および妥当性を確認してきた(e.g. 塩谷他,2015)。成人を対象としたPERMA-Profiler日本語版では,内的整合性が報告されている(塩谷,2017)のみであり,本測度の信頼性・妥当性の検証は未だ不十分といえる。そこで,本研究では成人の標本数を増やし,確証的因子分析の結果も含めた心理統計量を示し,PERMA-Profiler日本語版の信頼性・妥当性について検討する。  方 法  調査時期と対象者: 2016年6月から7カ月間の間に8個の異なる成人集団に実施し,回答の不備のない251名を分析対象とした。平均年齢50.71±11.5歳で,うち男性は56名であった。 調査内容:PERMA-Profiler日本語版(全23項目,各項目とも0~10までの11件法)。このうち15項目がPERMAの領域を直接反映する項目であり各3項目ずつである。 心理学的統計解析:項目分析(回答偏向,尖度・歪度,G-P,I-T分析),内的整合性(Cronbach’s α, Guttman’s λ6),下位尺度間相関,確証的因子分析によって検証した。確証的因子分析では,原版の5因子モデルと,比較のため1因子モデルをいずれも解析した。  結 果  基礎統計量を確認すると,回答偏向,尖度・歪度ともにいずれの項目も回答の偏りはなく,G-P分析では 全て下位群よりも上位群の得点が有意に高かった。I-T相関は,r=.43-.80と,いずれも中程度以上の相関係数がすべて有意であった。内的整合性はMがやや低かったものの,原版と同程度の値であった(Cronbach’s α:.60-.93,Guttman’s λ6 :.54-.93)。領域得点間の相関もr=.58-.78と十分に高い値であった。 確証的因子分析では,2つのモデルを比較すると1因子モデルよりも5因子モデルのほうがすべての適合度指標(CFI,TLC,RMSEA,SRMR)がよかった。しかし,その5因子モデルにおいてもCFI,TLC,RMSEAともに十分な値は得られず,SRMRのみが許容範囲であった(Fig)。  考 察  PERMA-Profiler日本語版の記述統計量において,年齢および性差はみられず,原版と同程度であった。また,項目分析(回答偏向,尖度・歪度,G-P,I-T分析)において,各項目に分布の偏りは見られず,原版とほぼ同様であった。 内的整合性では, R (ポジティブな関係性)のみがやや低かった。確証的因子分析でも,サポート自覚(助けが必要な際にサポートを受けている程度の自覚)の因子負荷量が低かった。日本人の場合,他者から支援を受けることは,ポジティブな人間関係を直接意味しないのかもしれない。 また,領域得点間の相関では,特にポジティブ感情と他の因子との関係が強いことが明らかとなった。拡張形成理論(Fredrickson,2001) で,ポジティブ感情が重要視されていることと対応するように思われる。 因子的妥当性においては,5因子モデルでは全ての適合度指標の基準を満たせなかったものの,1因子モデルよりも5因子構造のモデルのほうが適合度はよく,この点も原版と同様であった。well-beingの多面的測度の場合,適合度指標や因子負荷量を絶対視するのではなく,暫定的に5因子モデルを採用して研究を進めていくことに価値があると思われる。たとえば,well-beingの5つの領域ごとに関連する実際の外的行動(たとえば,E(エンゲージメント)であれば,何かに没頭する行動の頻度など)と,各領域の得点との関係を調べることで,基準関連妥当性を確認すること等が考えられる。  引用文献  Butler, J., & Kern, M. L. (2015). The PERMA-Profiler: A brief multidimensional measure of flourishing. Available from http://www.peggykern.org/questionnaires.html  Seligman, M. E. P. (2011). Flourish. New York, NY: Simon & Schuster.  塩谷 亨 (2017).  PERMA-Profiler日本語版の領域の内的整合性(1)-110名の成人標本を用いた検討- 日本心理臨床学会第 36 回大会論文集,p105.  Shiotani, T. et al. (2015). Development of the KIT version of PERMA-profiler (1): Necessity of a measure of positive facets for students and basic psychometrics. The 63rd Annual Conference of Japanese Society for Engineering Education, 430-431.

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