発表

3AM-015

食行動に関する文化心理学的研究(2)ー菜食主義者の食行動と食物に対する態度ー

[責任発表者] 古満 伊里:1
[連名発表者] 和田 有史:2, [連名発表者] 一言 英文:3, [連名発表者] 川端 一光:4, [連名発表者] 今田 純雄:1
1:広島修道大学, 2:立命館大学, 3:福岡大学, 4:明治学院大学

【目 的】近年,ダイバーシティ(多様性)ということばをよく耳にする。これは日本の食文化についても同様であり,さまざまな食嗜好を満たすための工夫が必要となる。菜食主義者の存在もその一因である。しかしながら彼らの食行動や食物に対する態度についてはあまり知られていない。本研究では,食物が自らの人生にもたらす意義を測定するために開発されたMeaning of Food in Life Questionnaire (MFLQ; Arbit et al., 2017) の日本語版を作成・実施することで,菜食主義者と非菜食主義者の食物に対する態度を性差も含めて検討した。【方 法】調査対象者:菜食主義者106名(平均年齢40.26歳,男子52名,女子54名),非菜食主義者148名(平均年齢42.48歳,男子67名,女子81名)の計254名であった。ここでの菜食主義者の定義は「普段の食生活で肉食をしない者」である。質問項目:MFLQ日本語版(7件法)に若干の食行動に関する質問項目を付加して使用した。なおMFLQの訳出に当たっては,翻訳専門会社に逆翻訳を依頼し,翻訳文がオリジナルの質問文とほぼ同等であることを確認した。手続き:インターネットを介した調査を専門とする調査会社(Cross Marketing)に委託し調査した。調査時期は2018年5月第1週であった。調査会社は,登録者に調査参加を呼びかけるメールを送信した(総数63,147人)。菜食主義者,非菜食主義者男女各50名(計200名)を目標値とし,参加者数がそれぞれの目標値に達するまで調査参加呼びかけメールを送信した。菜食主義者の目標値を確保するまでにスクリーニング調査画面に到達した参加者総数は1,222名であった。【結果と考察】MFLQ 22項目に対する全参加者254名の評価得点によって探索的因子分析(プロマックス回転)を実施した。その結果4因子が抽出され(Table 1),第1因子を「道徳性」,第2因子を「スピリチャリティ」,第3因子を「健康」,第4因子を「社会性」と命名した。なおオリジナルのMFLQは,日本語版における「スピリチャリティ」因子が「神聖性」と「審美性」に分離する5因子構造となっている。この点を除けば,日本語版の各因子に含まれる質問項目は,すべてオリジナルのMFLQの各因子に含まれる項目と一致した。抽出された4因子のそれぞれについて,各参加者の平均評価得点を求め,嗜好(菜食主義者・非菜食主義者)×性(男性・女性)の2要因分散分析を実施した。その結果,「スピリチャリティ」因子では性の主効果(女性>男性),「健康」因子では嗜好の主効果(非菜食主義者>菜食主義者)及び性の主効果(女性>男性),「社会性」因子では嗜好の主効果(非菜食主義>菜食主義)及び性の主効果(女性>男性)がそれぞれ有意であった。いずれの因子においても嗜好×性の交互作用は認められなかった(Figure 1)。これらの結果は,女性は概して食物に対する関心が高く,菜食主義者は非菜食主義者よりも健康志向,社会性がともに低いことを示している。

詳細検索