発表

3AM-012

夫婦は偏見を共有するのか

[責任発表者] 波多野 文:1,2
[連名発表者] 榊 美知子:1,3, [連名発表者] 小宮 あすか:4, [連名発表者] 村山 航#:1,3
1:高知工科大学/日本学術振興会, 2:日本学術振興会, 3:レディング大学, 4:広島大学

目 的 我々は,家族や友人などと相互にコミュニケーションを取って生活している。先行研究では,このような他者とのやりとりが偏見に影響を与える可能性が指摘されているが,親しい人間関係の中で,偏見や社会的信念が伝染するかはあまり検討されていない。本研究では夫婦という極めて親密度の高い関係において,偏見や社会的信念が類似するかを検討した。

方 法 調査対象者 モニタ登録者を協力者とする調査サービスを用いた。日本に在住する夫婦620組に回答を依頼し,429組から回答を得た。このうち,スクリーニング項目に正しく回答できたペア306組を分析の対象とした(平均年齢58.15歳,SD = 13.10)。 調査期間 2017年7月6日~2017年7月14日。 質問項目 個人属性に関する質問(生年月日,最終学歴,職業,年収,居住する地域,配偶者との結婚期間,同居の家族,子どもの有無),ウェルビーイング,夫婦関係,日本人,韓国人,ムスリムへの偏見尺度(Turner & Crisp, 2010),平等主義的性役割態度スケール(鈴木, 1994),ナショナリズム尺度(Weiss, 2003),政治的態度(三船・横田・中木, 2013),共感性尺度として対人反応性指標より共感的関心と視点取得(日道ら, 2017),社会的望ましさ尺度(谷, 2008),スクリーニング質問で構成された。偏見尺度は,人種ごとに6項目,性役割態度スケールは16項目から抜粋された8項目,ナショナリズム尺度は5項目で構成されていた。政治的態度は,先行研究の8項目に1項目を追加し,共感的関心と視点取得はそれぞれ2項目ずつ使用した。社会的望ましさ尺度は,印象操作因子から2項目を抜粋して使用した。質問紙は調査会社より調査対象者に配布され,個別に回答を得た。
結 果 各尺度について尺度得点を算出した。夫婦間のステレオタイプ,政治的信念の類似性を検討するために,ペアを要因とした一要因の分散分析を行い,ペア間の分散とペア内の分散から級内相関係数(ICC)を算出した(表1)。表1より,いずれの尺度においても級内相関係数が高くなった。F検定の結果,全ての尺度において,1%水準で有意となった。すなわち,夫婦同士で偏見や社会的信念が類似していることが明らかになった。

考 察 本研究の結果,夫婦という極めて親しい人間関係においては,偏見や政治的信念,性役割意識などの信念の類似性が高まることが明らかになった。ただし,夫婦関係の継続によって一方のステレオタイプがもう一方に伝染したことで類似性が高められたのか,そもそもステレオタイプや信念が類似している者同士が夫婦関係を結びやすいかは明らかではない。今後は縦断で測定を行い,類似性が長期的に高まるかを検討する予定である。

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