発表

1PM-116

中等教育学校生の心の健康と食品摂取状況の関連

[責任発表者] 加藤 佳子:1
[連名発表者] 永野 和美#:2, [連名発表者] 王 一然#:1, [連名発表者] 胡 承洪#:1
1:神戸大学, 2:神戸大学附属中等教育学校

目 的
 昨今,腸内細菌と脳との間の機能関連の存在が示され,腸内細菌‐腸‐脳関連がより一般的な概念として統合されつつある。これまでも主に大学生を対象として食品の摂取と精神的健康について検証がされてきたが,腸内細菌‐腸‐脳関連を想定した検証を行うことで,その機序にさらに迫ることができると考えた。そのうえで本研究では,心の健康と食品摂取状況との関連について検討することを目的とした。
 特に過敏性大腸炎にみられるようにストレスとの関連性は、強いと考えられる。そこでまず,ストレス反応やストレスレジリエンスと食品摂取との関連について検証した。次に心が健康な状態をとらえたwell-being(WHO 2014)と類似性のある生きがい意識との関連についてみた。
 なお本研究では,大学生に比較して規則正しい食生活を送っている中等教育学校生を対象として調査を行った。
方 法
調査対象者:中等教育学校の生徒902名(男性431名,女性471名:一年生120名,二年生143名,三年生190名,四年生180名,五年生150名,六年生119名)調査対象者のBMI値は19.41±2.50(男性19.65±2.87,女性19.19±2.09)であった。
調査内容:食品摂取状況は,佐々木によって開発された簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)によって測定した。生きがい意識は,今井ら(2012)が開発した生きがい意識尺度で測定した。ストレス反応は,松尾ら(2015)が開発した子どものためのストレス反応尺度を,ストレスレジリエンスは,人生の志向性であるSense of Coherence(SOC)を測定する尺度(Antonovsky 1979)の日本語短縮版SOC-13(山崎ら 2012)を使用し測定した。
結 果
 ストレスレジリエンスであるSOCは乳類と,正の相関がみられた。ストレス反応の中の易怒はいも類,菓子類,嗜好飲料と無気力は菓子類と抑うつは緑黄色野菜,その他の野菜,菓子類と正の相関がみられた。また,抑うつと乳類との間には負の相関がみられた。生きがい意識のうち,現状生活への肯定的感情は,砂糖・甘味料,魚介類と,未来への積極的態度は砂糖・甘味料,豆類,その他の野菜,魚介類,卵類,乳類と社会との関係における自己存在は穀類,砂糖・甘味料,豆類,魚介類,肉類,卵類,乳類,調味料・香辛料と正の相関がみられた。
考 察
 大学生や高齢者を対象とした報告では,野菜を摂取しているほどうつ傾向が低いことが報告されているが,本研究では異なった傾向が見られた。魚と抑うつとの関連については,一貫した報告がなされていないが,本研究では魚介類の摂取は心の健康を示す生きがいの高さと関連していた。また,乳類と抑うつの関連も報告されているが,本研究では乳類は抑うつだけではなく,ストレスレジレンスや生きがい意識とも関連していることが示された。
 今後は,得られた結果に基づき,ストレスレジレンスの強化やストレス反応の抑制につながったり,心の健康を高める食品の可能性について検証を深める必要がある。

引用文献
今井忠則・長田久雄・西村芳貢(2012).生きがい意識尺度(Ikigai-9)の信頼性と妥当性の検討 日本衛生誌,59, 433-439.など
謝辞:本研究はJSPS科研費 JP15K00871、乳の学術連合の助成を受けたものである。

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