発表

2EV-083

大学生のキャリア発達に関する研究

[責任発表者] 五十嵐 敦:1
1:福島大学総合教育研究センター


目 的
 大学等を卒業した者の就職状況が好調に推移しているが,就職活動に意欲をもてなかったり就職活動をしても採用に結びつかなかったりなど就職に困難を抱える若者は少なくない(労働政策研究研修機構,2017)。そこで,「低学年からのキャリアに対する意識づけ」や「就活意欲の低い学生や就職困難な学生への呼びかけ」などを重視する傾向が強まっている。結果,キャリア教育のなもとで直線的に就職対策などに偏向し,キャリア発達の視点やその基盤となっている大学生活との関連はあまり注目されていない。進路成熟や進路選択自己効力感などともに大学生活と実際の取組みなどの効果測定が待たれる。本報告では,大学生のキャリア発達について,キャリア成熟度や進路選択自己効力感等の要因と大学生活との関連を探るとともに,1年次の職場見学の経験の有無との関連についても検討する。

方 法
(1)調査対象;地方国立大学の2年生695人,性別や所属学類を明記した608人(女子292人,男子316人)を分析対象とした。
(2)調査内容;基本的属性や現在の進路希望,大学への満足度と卒業後の不安(4件法)など。
進路成熟態度;坂柳・竹内(1986)の尺度から関心性・自律性・計画性の3要因各2項目(6件法)。進路選択効力感;浦上(1995)などの尺度12項目に加え就職後の生活への自信など(6件法)。大学生活のとらえ方8項目とチャレンジや感情制御といった個人特性の側面4項目(5件法)。

結 果
進路希望は,「あり」が509人(73.2%),「なし」は184人(26.5%)であった。その決定時期については,回答のあった578人中277人(47.9%)が入学前から決めていた。次いで1年時が117人(20.2%)であった。大学満足については全体平均3.07(.719),卒業後不安は2.89(.831)であった。
職場見学は,COC+事業の一環で行われており,分析対象者中293人(48.2%)が参加していた。その有無による各変数の平均値の差の検定を行ったところ進路選択自己効力感の就活自信(t=2.200,p<.05)と自己理解(t=2.674,p<.01)で,参加群の平均が不参加群より有意に低かった。
各尺度の因子分析の結果,効力感では自己理解,就活自信,主体的選択,職業自信が抽出され,主体的選択以外で有意な性差が確認された。
大学生活満足と学類の2要因分散分析の結果,就活自信と主体的選択で,大学満足度の有意な主効果が(F(3,607)=2.842,p<.05,13.163,p<.001),
チャレンジでも(F(3,594)=2.990,p<.05)有意な主効果が確認された。卒業後不安の主効果は,効力感の全ての要因で有意な主効果が確認された。
進路成熟度の各変数を目的変数として,進路選択や大学生活の各変数による重回帰分析を行った。その結果をFig.1に示した。関心性には職業生活自信・主体的選択・チャレンジ・卒業後不安が正の有意な説明変数であった。大学生活不適応と感情制御は負の有意な説明変数であった。計画性については,チャレンジが正の,大学生活不適応と卒業後不安が負の有意な説明変数であった。自律性では,主体的選択とチャレンジが正の有意な説明変数であった。
初年次の取組みの有無は,進路発達・成熟との関連が確認されなかった。また,不安は関心を高めるようだが計画性には負の影響をもつようだ。

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