発表

2EV-076

保育者効力感と時間的展望との関係

[責任発表者] 小川内 哲生:1
[連名発表者] 龍 祐吉:2
1:尚絅大学短期大学部, 2:東海学園大学

目 的
本研究では,保育者養成校に所属する1年生を対象にして,
保育者効力感と時間的展望との関連を検討することを第一の目的,将来の職業として保育者や小学校教諭を積極的に志望する学生と積極的には志望しない学生との時間的展望と保育者効力感との関係を比較検討することを第二の目的とする。
方 法
調査対象 A短期大学幼児教育学科1年生とB大学人文学部発達教育学科1年生を対象に個別記入式の質問紙調査用紙を授業時間内に配布し,授業担当教員により回答依頼時に文章と口頭にて質問紙について説明し,合意を得たうえで実施した。回答に不備のなかった133名(男子53名、女子80名)を分析対象とした。
調査に用いた質問紙
調査内容:(1)と(2)は全ての質問項目について5段階にて評定させた。
(1)保育者効力感尺度:三木・桜井(1998)の作成した尺度10項目を使用した。
(2)時間的展望体験尺度:白井(1994)の時間的展望体験尺度18項目を使用した。この尺度は,4つの下位因子で構成されている。それらは,「私には、だいたいの将来計画がある」などの目標志向性5項目,「私の将来には希望がもてる」などの希望4項目,「毎日の生活が充実している」などの現在の充実感5項目,「私は、自分の過去を受け入れることができる」などの過去受容4項目からなる。
(3)希望職業:現時点で卒業後に就きたいと考えている職業を最大3つまで記入させ,それぞれについて希望程度を「第一希望」「第二希望」「第三希望」の3段階で評定させた。ただし,2つ以上の職業を第一希望として記入しないよう求めた。
結 果
相関分析:各尺度間の関連をみるため相関係数を算出した(Table 1)。その結果,目標志向性は希望(r=.52, p<.01)、現在の充実感(r=.29, p<.01),保育者効力感(r=.32, p<.01)との間に正の相関があった。希望は現在の充実感(r=.32, p<.01),保育者効力感(r=.33, p<.01)との間に正の相関があった。
各尺度の志望別平均値
 希望職業欄に第一志望として保育者(幼稚園教諭または保育士)を挙げた者を保育者志望積極群とし,小学校教諭を第一志望に挙げた者を小学校教諭志望積極群とした。さらに,それ以外の職業を第一志望に挙げた者を専門職志望消極群とした。各群ごとに各尺度の基本統計量を算出し,志望別に各得点に差があるかどうか検討するため,各尺度ごとに志望(保育者志望積極群,小学校教諭志望積極群,専門職志望消極群)を要因とする分散分析を行った。その結果,目標志向性,希望,保育者効力感において有意差が認められた。
 多重比較(Tukey法)の結果,保育者志望積極群は目標志向性,希望,保育者効力感の平均値が専門職志望消極群より有意に高かった。また,小学校教諭志望積極群は目標志向性,希望,保育者効力感の平均値が専門職志望消極群より有意に高かった。保育者志望積極群と小学校教諭志望積極群との間には,全ての尺度において有意差はみられなかった。
考 察
目標志向性や希望が高い学生は,保育者効力感が高いことが示唆された。養成校で取得できる免許や資格を利用して保育者や小学校教諭という専門職に就くことを志望する学生は専門職に就くことに消極的な学生に比べて,将来計画や個人的な目標が明確であり,卒業後に専門職に就き,教師や保育者としての任務を遂行できるという自信を持っているといえよう。実習未経験の1年生の場合,保育者として就職したいという目標と希望を抱いている学生は将来,保育職に就ける可能性が高いと判断する結果,保育者効力感も高くなる傾向があるが,保育職を積極的には志望しない学生は目標や希望が低く,就職できる可能性も高くないと判断するため,保育者効力感も低くなることが示唆された。

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